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by seagull_blade

月下独酌。(李白)

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花間一壺の酒
独り酌んで相親しむ無し
杯を挙げ明月を邀え
影に対して三人と成る
月 既に飲むを解せず
影 徒にわが身に随う
暫く月と影を伴い
行楽 須らく春に及ぶべし
我歌えば月徘徊し
我舞えば影繚乱す
醒時は同に交歓し
酔後はおのおの分散す
永く無情の遊を結び
遥かなる雲漢に相期す
(遥かは当用漢字になく変換できず)

唐代に「詩仙」と称えられた、李白の五言律詩「月下独酌」である。有名な詩であり、高校の漢文あたりでは習うことも多いので、ご存知の読者も多いだろう。唐の時代には綺羅星の如く(この熟語が本当にふさわしい意味で)漢詩の名手が多く生きていた。その中にあって「詩聖」杜甫と「詩仙」李白は図抜けた光を放っている。どちらが優れているかなどという問いは不遜であるし、そんな才能も筆者には無いのだが、どちらが好きかと問われれば、酒飲みの筆者はやはり「詩仙」李白である。李白の詩には酒とそれを取り巻くシチュエーションを巧みに切り取ったものが多い。説明的ではなく感覚的、社会的というよりもエロス的、アポロン的ではなくデュオニソス的である。李白がブログを書いたらさぞかし面白いだろう。夜毎に新作の律詩や絶句を更新したりして。李白のことであるから、モバイルPCをあちこちに持込んで、酒を飲みつつ、推敲など決してせず、才能の赴くままに詩を綴っていくのであろう。柔らかく、美しい彼の律詩や絶句は、綺羅星の中にあっては月のような存在感を放っている。筆者のお勧めは冒頭の「月下独酌」と「静夜思」である。「静夜思」を無粋な出張先のビジネスホテルでビールを飲みながら口ずさめば、ちょっと無粋さが和らぐ。お試しあれ。

静夜思 李白

牀前 月光を看る
疑 是 地上の霜かと
頭を擧(あ)げて山月を望み
頭を低(た)れて故郷を思う

それに比べて、杜甫の詩は着想が大きく、視野も広い。個人的というよりも社会的である。勿論、エロス的な心の動きを捉える事も巧みなのだが、詩仙「李白」に対してはそういう印象を受ける。日本人にも馴染みの深い「春望」はそうした杜甫のイメージが大きく出ている。(敢えて白文で)

春望 杜甫

國破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵萬金
白頭掻更短
渾欲不勝簪

李白を月に例えたように、杜甫を星に例えるならば、冬の夜に一際、惑星のような光を放つ「天狼星(おおいぬ座・シリウス)」だろうか。鋭く、孤高で圧倒的である。

完全に主観そのものの駄文となってしまったが、この記事はvarious moon様のブログ「つきのくさぐさ」でのTB企画『Blue Moon祭』用に記したものである。お月見レポートという趣旨なのだが、台風のおかげで東京でも月を見上げることができなかった。その代わりといってはなんなのだが、好きな漢詩でもご紹介させていただこうとなった次第。
今夜(8/30)はご厚顔を拝すことができるだろうか。
乞うご容赦である。
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8月は、2001年12月以来の[month of the Blue Moon]
1ヶ月の間に2度満月を迎える月間です。
しかも、2度目の満月“Blue Moon”は、幸運を呼ぶお月さま!!
見届けたら幸せになれると言われるこの月を、みんなで見上げてみませんか?

今回のBlue Moonは、計算上満月になる瞬間が8/30の11:22と、昼間にあたります。
ですから、便宜的に、
*月の出18:05、月の入り3:37の、8/29~8/30にかけてのお月さま
*月の出18:37、月の入り4:45の、8/30~8/31にかけてのお月さま
の両方を、当企画におけるBlue Moonと定義します(時間は東京の時間です)。
この2日間のお月さまを見上げて、みなさまのお月見記録を送って下さい。

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by seagull_blade | 2004-08-30 13:26 | bizarro life